こんにちは!オーナーのMISAです。

今回は、PART1PART2に引き続き、北ダラスで活躍するPARADIGM BUSINESS BROKERSのWasimにお話をお聞きします。


MISA:私は日本人の個人投資家でアメリカに移住したいと考えている人たちにもこのエリアをプロモーションしたいと考えています。個人の投資家に対して、事業を買うときのアドバイスは何かありますか?

どのようなビジネスでも、買収するときには本当に自分が力を惜しみなく注げる事業に投資すること。まずは自分が傾倒できるビジネスを選ぶことが最重要だと思います。

ビジネスを買収することは、どこかの会社で従業員として仕事に就くということとは全く違います。ビジネスオーナーとして、全力を注ぐ覚悟が必要です。全力を尽くすためには、その自分のビジネスが心から好きでなければいけないと思います。

自分のビジネスのためならどんな役目も負えるという気概が必要です。ときには人が足りなければ自分が自らリソースを割いて補充する必要があるし、日々の会計処理もやらなければならない。ときには、配送担当としてドライバーをしなければならないかもしれない。それでも成功のためなら、どんな役目だって喜んで自分がこなせる、というくらいに心から楽しめる事業を買収対象として選ぶべきです。

また、自分のバックグラウンドを活かせるかどうかも重要な観点です。自分の勉強してきた学問であったり、キャリア経験が生かせるビジネスである程、成功する確率は高まると思います。逆に、全く自分の経験とは畑違いのビジネスを選んだとしたら、成功への難易度は上がるはずです。

例えば、ITコンサルタントのバックグラウンドがある人が、ある日突然レストランのオーナーになるのは簡単なことではないですよね。とはいえ不可能ではないし、そういう成約事例も過去にはありましたが、ほとんどのケースで非常に難しい挑戦となることは明白です。

そういうケースにおいて、よく起こりがちなのは、ビジネスを買収した数カ月後か1~2年のうちに「EXITしたい」と言い出すケース。これではせっかく大きなお金をかけて投資しても、売上を拡大して利益を確保することは難しいですよね。

MISA:たまに、「自分のバーが欲しいから」と言って、自分が使ったり誰かを招待するためだけに飲食店の経験がないのにオーナーになりたがる個人の買手もいますよね。

例えば日本国内だけでも、物流関係の仕事に従事していた経験のある人がアメリカで物流ビジネスを手掛けたいということであれば、(もちろん国際ビジネスになるだけで様々な困難はあるにせよ)きっと事業の”勘どころ”として生かせる共通項は見出せるはず。そういうケースであれば、自分のキャリア経験を活かせると思います。過去に全く関わりのないビジネスを自身で手掛けることと比較すれば、経営を軌道に乗せるスピードは圧倒的に速くなると思います。

仮にたとえビジネスモデル自体が良いモノであったとしても、オーナーはすべての責任を自分で負わなければいけないし、もしそのビジネスに本気で従事する気概がないのであれば、ネガティブなインパクトを与えてしまう可能性は高いでしょう。

MISA:とくに、投資家ビザ(E2)狙いの個人の買手の場合には、買収したあとに事業の収益性を維持しない限りビザを更新できなくなってしまうから、注意が必要ですね。

その通り。それは本当に重要なポイントです。過去に、アメリカ国外から連絡をくれた買手候補の方から「E2ビザが取得できるビジネスなら、なんでも良いから買いたい。紹介してくれ」と言われましたが、このような買手はもっと注意深く考える必要があると思います。多少の時間がかかっても、辛抱強く自分にとって最適なビジネスを探す方が賢明です。

意思決定のスピードが速すぎて、後悔してしまうケースもあり得ます。

E2ビザの場合は、収益性を維持向上させ、ローカルの経済に貢献し続ける必要があります。売上が成長していることを示し、きちんと収益を生んで、税金を納められているビジネスであるとアメリカ政府に示さなくてはいけません。その代わりとして、海外からの居住者を迎え入れるという仕組みですから。

ビジネスに注力できずに業績も厳しくなってしまって、例えば賃料の支払い義務が履行できなければ違約金が発生するし、収益確保が難しければ投資家ビザの更新も難しくなる。だからこそ、「このビジネスであれば、自分で経営できる。自分の手で成功に導くことができる」と、少なくとも自分自身でそう思えるビジネスを選ぶ必要があります。


インタビューはPART4に続きます。