PART1、PART2に引き続き、テキサス在住シリアルアントレプレナーのKaleoにお話をお聞きします。
MISA: ビジネスを売ることを考えている人に会社を売るときのアドバイスはありますか?
ビジネスオーナーにとっては、自分が提示する条件で売ることが良いことですよね。
どんなビジネスも永遠に続くと考えてはいけません。どこかであなたの役割が変わる時がやってきます。ですから、私はビジネスを始める時には、同時に最終地点を考えておくのです。退職を計画している人や考えている人には、時間が必要だと思います。
時間に余裕があれば、自分が望む条件でビジネスを売却しやすいはずです。
ビジネス自体の主導権は持って運営すべきですが、日々のオペレーションはオーナーが運営するべきものではありません。マネジメントチーム、人材、戦略、顧客、その他いろいろな資産が、買い手にとって魅力あるものである必要があります。
私が思うに、買い手は価格だけでなく、将来のビジネスに対して戦略的でないといけないと思います。過去の実際の取引でも、会計帳簿上のEBITDA(金利・税金・償却前利益、支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益)よりも、ロケーションを重視していたビジネスもありました。また、顧客基盤に強みもありました。それらは買い手にとって価値のあるものです。そして、そのような情報は必ずしも、貸借対照表や損益計算書に出てくるものではありません。
MISA: そうですね。多くの査定は決算書類をベースにされることが多いですが、一番大事な価値は貸借対照表には出ていないことが多いという意味で納得です。見えない価値ある資産ですね。
その通り。どこにどれだけの価値があるかを考えてみることが大事です。
MISA: Kaleoが売ったビジネスで買い手にとって一番価値の大きかったものは何ですか?
ケミカル薬品の会社では、顧客基盤かな。
MISA: 買い手は顧客を入手できるわけですもんね。
ええ。事業コンセプトも明確に示せていたし、買手には営業部隊もありました。ですから、市場の機会は大きいと示すことができたと思います。将来の展望は証明されていましたし、そこには高い価値がありました。我々には非常に素晴らしい顧客基盤があったのですが、チャンスと余白(ホワイト)スペースが多かったのです。
つい先日売却した輸送会社の価値はは、地理的な場所と顧客基盤でしたね。顧客の1社は全米最大のエタノール製造企業でした。エタノールはとうもろこしからアルールを作ります。私たちの会社は、その企業と長期に渡ってビジネスを構築し、非常に利益率の良いビジネスをさせてもらっていました。つまり、買い手にとっては、私たちの分野で培ったビジネスチャンスを手に入れることは、さらなる事業の拡大が見込めるものでした。
そのとき手を挙げた買手は、私たちの会社よりも15倍も規模の会社でした。その買手にとっては良い戦略的買収だったのです。ですが、最終的には私のビジネスパートナーが他のことをしたいと申し出たので、彼に任せることにしました。彼とはもともと友人だったからです。
MISA: 多くの日本人会社経営者はKaleoのようなアントレプレナーから多くを学びたいと思います。日本人のオーナー社長の中には70歳や80歳の人もいます。個人的には、もっと早い段階でビジネスをどうすべきか(売るべきか、誰に継がせるべきか)を考えなければいけないと思います。
私にはまだ60歳にもなっていないけれども健康に問題を抱える親しい友人がいます。彼は会社を売却する際に交渉の場で、健康問題を隠すことができませんでした。だから、交渉時には、彼が会社を手放さないといけないのは誰の目にも明らかだったため、とても不利な状況に置かれてしまいました。
MISA: 弱点が見えていたわけですね。
もう少し若くて健康だったら、もう少し高額を受け取れていたかもしれないのに。
MISA: タイミングが重要ですね。イグジットは、早い時点で考え始める方がいいのかもしれませんね。
次の事業はどのようなことをしようと思っていますか?
人の役に立つことが好きまので、他の人のビジネスのチャンスを見つける手助けをするようなことや、経営者が次のチャレンジ、次のステージへと進むお手伝いをするような機会を増やしたいと思っています。
コンサルタントとか、ビジネスブローカーとか、アドバイザーとか。ですが、起業家としては、また別の事業を立ち上げたいかなと思ったりもします。いつもそうなってしまうんだよね。もともとアントレプレナーとして起業することがとても好きなんだと思います。
MISA: やっぱり、環境にやさしいものの生産に関わるような事業になるでしょうか?
そうかもしれません。環境に配慮したもの(エコ・フレンドリー)かもしれませんが、その他にも水素、太陽光エネルギー、風力、炭素除去など多種多様なものに大きなチャンスがあると思います。水の生成とかもね。
MISA: Kaleoなら、必ず次も成功するでしょうね!
インタビューはPART4へ続きます。