こんにちは!オーナーのMISAです。
今回もPART1、PART2、PART3、PART4に続き、イギリス出身のM&Aブローカー、Neilに話をお聞きします。
MISA: 日本での思い出はなんですか?
たくさんありますね。日本の思い出といえば、食べ物はなんでも美味しいし、毎日違う食べ物を楽しめることが一番です。恋しいですね~!フレンドリーな雰囲気も恋しいです。みんなとても親切で、助けてくれました。それから、治安の良さも。誰しもがそう言うと思いますが、日本の魅力ですね。
私にとっては、とくに日本で起きた些細な出来事が記憶によく残っています。例えば、道路で財布を落とした時、翌日に地元の警察から電話があり、誰かがあなたの財布を届けてくれたと言われたんです。そのときにね、財布を届けてくれた人の電話番号を教えてくれたんですよ。「これは財布を届けてくれた人の名前です。お礼の電話をかけてみてください」って。私にとっては、それが素晴らしい文化だなぁと感じたんです。自分が御礼を伝えたくなるのは当然ですが、わざわざ警察の人が名前や電話番号を教えてくれて、財布を届けてくれた人にお礼を渡せるようなことなんて、普通ありませんよ。
MISA: 些細なことだけど、カルチャーが良く現れてますね!
はい、まったくその通りです。
あとは、思い出に残っているのは、温泉に入ったことです。屋外の温泉で、富士山が見えたのですが、温泉に浸かりながら近くにいたサルたちを見たことがあります。サルたちも温泉に浸かって楽しんでいました。人間と同じようにね。そういう小さな出来事のがすべて貴重な思い出です。
日本語も言語として素晴らしくて、面白いことがたくさんありました。日本語にはイントネーションがあり、少し発音を間違えただけで全く異なる意味になりますよね。同じ言葉「HASHI」でも、一つは「橋」を意味し、もう一つは「箸」を意味する。イントネーションを間違えると、「橋で食事をする」意味になってしまう!そういう些細なミスで笑ったりしていました。
MISA: 日本が好きなのですね。
日本、大好きですよ!妻と出会った場所ですしね。結婚して15年です。長く滞在する予定はありませんでしたが、日本では多くの素晴らしい人々に出会いました。彼らはいつも助けようとしてくれます。
MISA: 一緒に日本とこのテキサスのエリアとの懸け橋になってくださいね!
もちろん!そう願っています。日本人のクライアントは過去に居たことは無いのですが、他のアジア人のクライアントはたくさんいます。日本人のクライアントも待っていますよ!
いろんな国籍、文化について学ぶことは、この仕事にも役立ちます。カルチャーの違いで売手と買手の間に問題が生じることがありますからね。例えば、私は12か月前に地中海料理店の売却を手がけました。同じ地中海エリアの国と言ってもいろんな国があり、それぞれ個性が全然異なります。レバノン出身のオーナーとギリシャ出身の買手をマッチングさせたのですが、全くうまくいきませんでした。まるで花火のように火花が散っていました。ひとりはパッション溢れる感じで、ひとりはもっとのんびりした感じで…。最終的に成約しましたが、大変厳しい時もありました。どちらも地中海の国なのですが、国民性の全く異なる地域です。そういったことを学ぶことが、成約には役立ちます。
MISA: そういう様々な文化をM&A案件を通じて学ぶことができると思うと楽しみです。
このテキサスでの案件ではきっとアメリカ人だけでなく、アジアやヨーロッパなども含めて、世界中のさまざまな文化に触れる機会があると思っています。
ダラスやフォートワースはますます多様化し、毎年多文化が増えています。ベトナム人、インド人、南米人など、買手の約50%がアメリカ出身ではない気がしますね。難しいこともありますが、面白いですね。ローカルの売手は自分の好みの買手を選ぶ傾向はありますが、ほとんどは自分と同じようなマインドを持つ人へビジネスを売りたいと思っているケースが多いです。国籍や人種の差別的な意味ではなく、自分と同じような考え方、同じようなメンタリティを求めているのです。
よくネイルサロンの案件を手掛けるのですが、アメリカのネイルサロンはベトナム人が経営しているケースが非常に多いです。
MISA: 本当にそうですよね!なぜベトナム人が多いんですかね?
理由はわからないのですが、そういう傾向がありますね!たとえばドライクリーニング店は、韓国人が多かったり…。
ネイルサロンを買いたいと検討している買手候補はよく「自分はベトナム人ではないけど、問題になりますか?」と聞いてくることがあります。ちょうどいまも、ネイルサロンをカナダ人が買いたいと言っていて、彼女は自分がオーナーになることで従業員がこれまで通り働いてくれるか心配しています。文化や言語の違いはあるはずなので、心配になるのは当然です。
でも、ステレオタイプは真実ではないことも多いものです。例えば以前の案件でアメリカのバーベキューレストランの売却案件がありました。バーベキューは非常に地域性のあるビジネスで、テキサスが特に有名ですね。でもそのオーナーは実はメキシコ人で、素晴らしい経営者でした。バーベキューはメキシコ料理ではないけど。
そういった文化や国籍の違いも考慮しながら、売主も買主も成約するまえに安心してもらうことが私たちの仕事の一つです。仮に新しい買い手がビジネスのやり方を「すべてを一気に変えます!」という場合には大問題ですが。どんな国籍であっても、そのビジネスを真摯に学び、少しずつ改善を加えていけばうまくいくでしょう。
私は基本的には売主のエージェントではありますが、買手をサポートする場面も多いです。ビジネスを継承して、成功してほしいですからね。それに、買手だったクライアントがいつか売手になる可能性もありますから。だからこそ彼らの成功を応援したいのです。
いままでの経験で、最速の例では、ビジネスを買収してからわずか7日後に売却の相談をされたことがあります(笑)。気が変わったわけでは無くて、買手だったクライアントの夫が仕事で転勤になってしまったからです。ビジネスを買収して2日後に、夫の海外転勤という予測していなかったニュースを知らされたんです。
結局その案件自体は引き受けなかったのですが、基本的にはどんな背景であっても売却を検討している売主に対しては最善を尽くします。人生は予期せぬことがありますからね。たとえば、健康上の理由で6か月後にビジネスを売りたいというケースもあります。もしかしたら希望する通りの価格で売れないかもしれませんが、大切なのはお金のことではなく身体の健康のことですから。難しい案件だからといって、お断りすることはありません。お断りするケースがあるとすれば、売手が自分のビジネスに対して過大評価すぎて、強気な希望譲渡対価のケースです。その場合は、売主にとっても自分にとっても時間の無駄になるので、断る可能性は高いです。
MISA: Neilの案件は買手にとっても検討しやすく情報がきちんと精査されていて、日本人投資家にも紹介しやすいのでとても助かっています!そして、余計に強気な価格で売却を試みる売主は敬遠したいのも全く同感です。あくまでフェアな金額を知ってもらい、売主のマインドに会う良い買手を見つけてあげたいですよね。
日本も知り、イギリス人としての島国精神も共通し、そしてテキサスのM&Aエージェントとしても大先輩のNeilにお話を聞けて本当に光栄でした。インタビューに協力していただき、ありがとうございました!