こんにちは!M&A勉強中のコンサルタントのYUTAKAです。今日は、M&Aに取り組むうえで必須のファイナンスの知識の勉強方法についてお話したいと思います。M&Aを本業とする場合でなくとも、勤め先で急にM&Aの担当者になった、M&Aアドバイザーとの窓口を任された、はたまた個人でスモールビジネスの買収に興味を持ったなど、いろいろな場面でM&Aと関わる可能性があるかと思います。
また、M&Aの文脈でなくとも、財務や会計、経済などのトピックに苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。かくいう私も、M&Aに興味を持つ前から、会計や財務の知識の重要性は認識しており、何冊か本を読んだことがありましたが、なかなか身につかなかった経緯があります。
実は、そもそも私がM&Aに興味を持ったきっかけの一つが、MISAさんのYouTube動画でした。その動画では、M&Aアドバイザーに必要な3つの要素として「営業力」、「英語力」、そして「財務の知識」が挙げられていました。私は営業力と英語力には自信がありましたが、上述の通り財務の知識は「ある」とはお世辞でも言えない状態でした。今では、もちろんまだまだですが、今まで培った業界経験や営業力、語学力などを活かしながら、専門家の方のお話にもそれなりについていけるようになったと考えています。ここでは、私の具体的な勉強方法を紹介したいと思います。
日経新聞をしっかり読む
これは「日経新聞」を読むではなく、「しっかり」読むがポイントです。3年ほど前に、ヨーロッパのファンドの方とお仕事をする機会があり、デット(借入)の変動金利・固定金利の議題が上がった時に、「日本の金利はこれからどうなると思う?」と聞かれました。その問いに対して、なんとな~く薄っぺらい回答しかできなかった自分に気づき、まずは経済の知識をつけなければ、と感じました。
新聞を読んでいても、何となく理解しないまま流し読みしてしまっているようではダメだと感じ、しっかりと理解することに努めました。最初は経済欄をしっかり理解するところから始め、次の2、3で紹介するような勉強を経て、企業の決算報告も読み込めるようになりました。特に、株価を意識した経営が現在の企業財務の主流となっているため、その前提となる経済の状況(何と何が連動しているかなど)を勉強することが重要です。
『コーポレートファイナンス 戦略と実践』を読む
こちらの『コーポレートファイナンス 戦略と実践』を読みました。この本に出会ったのは本当に運がよかったと思っています。他に読んだことのある本ではなかなか身につかなかったのですが、この本は非常に役立ちました。この本は、理論だけでなく実務に役立つ具体的な事例や戦略が多く取り上げられており、ファイナンスの基本から応用までを幅広く学ぶことができました。
特に、企業価値評価や資本構成、投資決定のプロセスなど、M&Aに直接関わるテーマについても理解を深めることができました。この本に関しても、「しっかり」読むことを念頭に、わからないことは調べて理解しながら読み進めたため、かなりの時間がかかりましたが、企業財務の全体像がわかり、新聞記事にあるような経済ニュースとの関連性もよく見えるようになりました。
資格試験の問題集を解く
資格を取得するかどうかに関わらず、ファイナンス関連の資格試験の問題集を解くことで理解を深めました。問題集をすべて解く必要はなく、興味があるところや、大事なところだけでいいと思います。ただ、計算問題はおすすめです。財務諸表の分析や企業価値評価の問題を解くことで、理論の理解を実際の数字に落とし込む練習ができました。AIブームの今ですが、やはり理解を深めるという意味では、手計算をしてみるというのはまだまだ有効な方法だと感じました。
独学を支えるツール
これらの勉強を進める中で、わからないことが出てきた場合にはChatGPTをフル活用しました。わからない単語が出てきた場合、その単語を調べると、さらにわからない単語がでてくるということが往々にしてありますが、ChatGPTは会話形式ですので、わからないところを次々と質問できます。また、例えば新聞記事で理解できない部分について、「解説してください」と指示をすると、わかりやすく解説してくれます。もちろん、生成AIの精度はインターネット上の情報量に左右されるので、特定の企業の活動に関するトピックなどを質問することは不適切です。一方で、経済やファイナンスの理論的な部分など、一般的な知識として情報が大量にある部分に関しては、生成AIの活用は非常に有効と考えます。それでも、回答に不安がある場合には、Google検索も併用することで、情報の信頼性を補強しました。
結論
企業財務の知識は、株主を重視した経営が必須の現代で必須のものです。これらの知識を身につけることで、ニュースの内容もより深く理解でき、株式投資にも役立ちます。また、M&Aやファイナンス以外の仕事をする上でも、多くの場面で役立つスキルだと感じています。例えば、営業やマーケティングの分野でも、企業の財務状況や経済環境を理解することで、より戦略的な提案をすることが可能です。企業の成長戦略やリスク管理に対する理解も深まり、より俯瞰的なビジネス判断ができると考えています。
上記の3つの勉強方法は、それぞれ独立したステップではなく、お互いに補強しあっている部分があると感じています。理解している部分が増えるにつれ、違う本やニュース、動画を見たときに吸収できる量が増えていると感じます。これからも継続的に学び続けることで、さらに知見を深めていきたいと考えています。
MISA:YUTAKAさん、ファイナンスの勉強方法についてシェアいただきありがとうございます!私も社会人は営業でスタートし、仕事で全く財務会計を使う機会が無かったので知識はゼロでした。財務会計の勉強を始めたのは、中小企業診断士という資格取得を目指したことがきっかけです。そのときまで、簿記の仕訳・転記すら全く理解できないレベルでした(笑)。ですが、2次試験では、財務諸表の分析や将来キャッシュフローの計算問題などがあり、かなりの時間を費やして勉強した記憶があります。資格取得にこだわる必要はありませんが、何かをきっかけに力を入れて勉強をすると、「苦手だった数字がいつのまにか面白いと思うようになった!」という奇跡のような体験ができるのでおススメですよ。
また、私からもおすすめ書籍をご紹介しておきます。まずは、「生涯投資家(村上 世彰)」。「株主は会社とどう関わるべきなのか?」「コーポレートガバナンスとは何なのか?」を学ぶことができます。また、「会計士は見た!(前川 修満)」。これは実際の企業の不正会計のからくりを解説しています。会計が分かると、大手企業でもなんとも単純な不正会計をやらかしてきたことがよくわかります。そして、M&Aアドバイザーの必読書と言われて先輩に進められた「JTのM&A(新貝 康司)」。これは財務会計の勉強というよりも、M&Aの勘どころ(とくにPMI)について、大切なことが書かれています。他にも会計の本は世の中にたくさんありますので、表紙を見てピンときたものから手に取ってみるのもありかもしれませんね。常にアンテナを張っておいて、財務会計情報に触れておく姿勢が大事なのではないかなと思います。良かったら参考にしてみてください!