ハロウィンが終わり、街のオレンジ色が消えるころ。
アメリカの家庭は一気に“感謝モード”へと切り替わります。
スーパーには巨大なターキーが並び、パンプキンパイやクランベリーソースの材料が山積みに。
11月の第4木曜日、アメリカ中が静かに、そして温かく家族のもとへ帰る日――それが**Thanksgiving(サンクスギビング/感謝祭)**です。
でも、「なぜこの日を祝うの?」「何を感謝するの?」と聞かれると、
意外と説明できない人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなサンクスギビングの由来や歴史をひもときながら、
**「実は最初の感謝祭はテキサスだった!?」**という驚きのエピソード、
そして現代テキサス流の祝われ方をご紹介します。
🦃 サンクスギビングとはどんな日?
アメリカでは、サンクスギビングは家族で集まり、1年の恵みに感謝する日として定着しています。
もともとは、厳しい自然の中で暮らす人々が「無事に収穫を迎えられたこと」に感謝したことが始まり。
宗教的な意味よりも、**家族の絆と“感謝の心”**を大切にする祝日です。
この日、多くのアメリカ人は仕事を休み、遠く離れた家族や友人のもとへ帰省します。
空港は大混雑、道路も渋滞。
それでも「Thanksgivingだけは家族と過ごす」という文化は、
どの祝日よりも強く根づいています。
🌾 起源:ピルグリムとネイティブ・アメリカンの“共食”が始まり
教科書でよく語られる起源は、1621年、マサチューセッツ州プリマスでの出来事。
イギリスから新大陸に渡ったピルグリム(清教徒)たちは、初めての冬に飢えと寒さで苦しみました。
そんな彼らを助けたのが、先住民ワンパノアグ族。
狩りや農作の方法を教わり、翌年、豊かな収穫を得ることができました。
その感謝の気持ちを込めて、ピルグリムたちは先住民を招き、
3日間にわたって共に食卓を囲んだのが「最初の感謝祭」と言われています。
やがてこの習慣は他の植民地にも広がり、
ジョージ・ワシントンが「国の感謝の日」として祝日を宣言。
さらに1863年、エイブラハム・リンカーンが
「11月の最終木曜日をThanksgiving Dayとする」と布告し、
現在の形として定着しました。
つまりサンクスギビングは、助け合い・感謝・共存を象徴する日なのです。
🤠 実はテキサスが“最初の感謝祭”だった!?
ここからが面白い話。
実は「アメリカ最初のThanksgivingはテキサスだった」という説が存在します。
その舞台は、マサチューセッツではなくEl Paso(エルパソ)。
時は1621年よりも20年以上前の1598年――
スペイン人探検家フアン・デ・オニャーテ(Juan de Oñate)率いる一行が、
メキシコから北上してRio Grande(リオ・グランデ川)を渡ってきたときのことです。
長い旅の末、飢えと渇きに苦しんでいた彼らは、
ようやく川にたどり着き、飲み水を得て命をつなぎました。
その喜びと感謝を分かち合うため、地元の先住民とともに食事をした――
それが、**アメリカ大陸最初の感謝祭(The First Thanksgiving)**だったというのです。
この出来事は今でもテキサスの歴史イベントとして語り継がれ、
毎年エルパソでは記念式典が行われています。
つまり、**「感謝祭の原点はテキサスにあった」**とも言えるのです。
この話を知ると、少し誇らしい気持ちになりますよね。
まさに“Everything is bigger in Texas”――テキサスは歴史もスケールが大きい!
🍗 現代テキサス流サンクスギビングの楽しみ方
① フードは“BBQスタイル”で豪快に!
アメリカ全体ではオーブンで焼いたターキーが定番ですが、
テキサスでは**スモークターキー(Smoked Turkey)**が主流!
BBQ文化の強いテキサスでは、桜やヒッコリーの木でじっくり燻して仕上げるのが定番です。
さらに「フライドターキー」という、油で丸ごと揚げるスタイルも人気。
外はカリッ、中はジューシーで、香ばしさがたまりません。
サイドメニューも南部らしさ全開で、
- マカロニ&チーズ
- コーンブレッド
- ピーカンパイ
- スイートポテトキャセロール
など、甘じょっぱいコンフォートフードが勢ぞろいします。
もはや食の祭典。感謝というより“グルメ感謝祭”です。
② 家族+フットボール=テキサスの定番
食後のお楽しみといえば、**Dallas Cowboys(ダラス・カウボーイズ)**の試合。
感謝祭の日に試合を開催するのは1966年からの伝統で、
今や全米中が注目する“Thanksgiving Game”になっています。
テーブルの上にはパイ、手にはリモコン。
家族全員でテレビ前に集合して
「Go Cowboys!」と叫ぶ――
これがテキサスのリアル・サンクスギビングスタイルです。
③ 翌日の“Black Friday”で買い物熱が最高潮!
サンクスギビングの翌日(金曜日)は、全米が一斉にセールを開催するブラックフライデー。
家族行事が終わった翌朝から、ショッピングモールに行列ができるのはもはや風物詩です。
北ダラスではFriscoの「Stonebriar Centre」やPlanoの「Legacy West」が人気。
街全体がホリデーイルミネーションに包まれ、
一年で最も“きらびやかな週末”を迎えます。
💬 サンクスギビングの豆知識
- 🦃 ターキー恩赦(Turkey Pardon)
毎年ホワイトハウスで、大統領が1羽のターキーを「食べずに生かす」儀式。
恩赦を受けたターキーは農場で余生を過ごすそうです。 - 👟 Turkey Trot(感謝祭マラソン)
Thanksgiving当日の朝、全米各地で開催されるマラソンイベント。
Dallas Turkey Trotは毎年数万人が参加する人気イベントです。 - 🧡 Give Back(感謝を返す)
フードバンクへの寄付や地域ボランティア活動が盛んになる季節。
テキサスでは「North Texas Food Bank」が毎年大きな支援を受けています。
💭 感謝を“言葉にする”文化
サンクスギビングの本当の意味は、“感謝を感じ、伝えること”。
アメリカでは食事の前に、家族がひとりずつ
「今年感謝していること」を話す習慣があります。
「健康に感謝」「新しい出会いに感謝」「家族に感謝」。
一言でも口にすると、不思議と心が温かくなります。
日本では“ありがとう”を照れくさく感じる人も多いですが、
この日だけは素直に言葉にしてみるのもいいかもしれません。
感謝を伝えることで、人とのつながりがより深まります。
🕊 まとめ:感謝の原点はテキサスにあり
サンクスギビングは、単なる「ごちそうの日」ではありません。
人々が助け合い、支え合い、自然の恵みに感謝する――そんな心の文化。
そしてそのスピリットは、ここテキサスでもしっかりと息づいています。
スモークターキーの香り、フットボールの歓声、家族の笑い声。
どれも“感謝”という言葉でつながっているのです。
今年のサンクスギビングは、
テキサスの歴史に思いを馳せながら、
あなたなりの“ありがとう”を伝える日にしてみてはいかがでしょうか。
