一言で説明

アット・ウィル雇用(At-Will Employment)とは、雇用主も従業員も、原則として理由を示さずに雇用を終了できる米国の基本ルールです。テキサスでも一般的な考え方で、M&A後の人員計画に直結します。

詳しい解説

日本では「解雇は最後の手段」で、客観的・合理的な理由と手続きが厳しく求められます。一方、米国のアット・ウィル雇用は、雇用契約が特別に定めない限り、雇用関係を比較的柔軟に終了できるのが特徴です。ただし「何でもあり」ではなく、差別(人種、性別、年齢など)や報復、賃金関連法違反などに当たる解雇は違法となり得ます。また、就業規則やオファーレターの書き方次第で、意図せず“解雇に制約のある契約”に近づいてしまうこともあります。

テキサスM&Aでの具体例や注意点

テキサス企業を買収する際、買い手が「統合後に重複部門を整理できる」と見込んでバリュエーションを組むことがあります。ところが、実務では①マネージャーが口頭で長期雇用を約束していた、②従業員ハンドブックの表現が強く“解雇には段階手続き必須”のように読める、③コミッションやボーナスの未払いが残る、といった点がトラブルの火種になります。私たちはDDで雇用契約、オファーレター、ハンドブック、過去の解雇クレームの有無を重点確認し、必要に応じて買収後の雇用条件(新オファー、重要人材のリテンション)を整理します。公的情報としては、米国の雇用関連の基礎はU.S. Department of Labor、また中小企業向けの雇用・人事の一般情報はSBA(従業員の採用・管理)も参考になります。

まとめ

アット・ウィル雇用はテキサスM&Aの前提となる一方、差別・報復や文書表現次第でリスクが生まれます。買収前の書類確認と、買収後の雇用コミュニケーション設計が重要です。

コメント

M&Aの現場では「テキサスはアット・ウィルだから簡単に整理できる」と早合点して、買収後に従業員の反発やクレーム対応で想定以上に時間とコストがかかるケースを見てきました。特にハンドブックやマネージャーの言い回しが“約束”と受け取られないよう、DD段階での棚卸しと、クロージング後の説明(何が変わり、何が変わらないか)を丁寧に行うだけで、統合はかなりスムーズになります。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・税務的なアドバイスではありません。詳しくは専門家にご相談ください。