1. 一言で説明
LOI(意向表明書)は、買い手が『この条件で買いたい』という意思と主要条件を、売り手に最初に提示する書類です。契約書そのものではなく、交渉の土台を作る役割があります。
2. 詳しい解説
LOIは英語でLetter of Intent。価格レンジ、支払い方法(現金・分割・アーンアウト等)、想定スケジュール、独占交渉(一定期間は他社と交渉しない)などを整理します。重要なのは『どこが法的に拘束されるか』です。通常、価格など商談条件は原則“非拘束”でも、秘密保持、独占交渉、費用負担、準拠法などは拘束条項として入ることがあります。LOIを丁寧に作るほど、後のデューデリジェンスや最終契約(APA/SPA)での手戻りが減ります。
3. テキサスM&Aでの具体例や注意点
日本からテキサスの中小企業を買収するケースでは、LOIで『何を買うか(株式か資産か)』を早めにすり合わせるのが重要です。米国では資産譲渡(Asset Deal)が多く、在庫・設備・顧客契約・商標・従業員引継ぎの範囲をLOI段階で大枠確認すると、後で想定外のコストを避けられます。また独占交渉期間は、買い手側の調査(財務・税務・法務・雇用)に足りる日数を確保しつつ、売り手の機会損失にも配慮して30〜60日程度が一般的です。日米の違いとして、日本の『基本合意書』は比較的“拘束力あり”の印象で受け取られがちですが、米国LOIは『拘束条項のみ拘束』という整理が多い点に注意してください。資金計画面では、SBA融資を使う場合に求められる情報があるため、事前に要件を確認しておくと交渉がスムーズです(参考:U.S. Small Business Administration: Loans)。
4. まとめ
LOIはM&A交渉の“入口”で、条件整理と期待値調整をする重要書類です。拘束条項の範囲と、テキサス特有の取引慣行(資産譲渡の多さ等)を押さえると失敗確率が下がります。
5. コメント
私たちがダラス周辺の案件で実際に感じるのは、『LOIが曖昧だと、デューデリジェンス後に揉める確率が一気に上がる』という点です。特に日本のオーナー様は“合意したつもり”で進めがちなので、LOIでは①取引形態(株式/資産)②価格の考え方(運転資本調整の有無)③独占期間と情報開示の深さ、の3点だけでも明文化することを強くおすすめします。LOIを丁寧に作ることは、交渉を強くするというより、最終契約までのコストと時間を守るための保険になります。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・税務的なアドバイスではありません。詳しくは専門家にご相談ください。
