1. 一言で説明

Sコーポレーション(S Corp)は、会社として運営しながら、利益に対する課税を基本的に株主側へ「通過(パススルー)」させる米国の税務上の選択肢です。二重課税を避けやすい一方、株主や株式の条件に制限があります。

2. 詳しい解説

S Corpは「法人形態」そのものというより、IRS(米国税務当局)へ申請して選ぶ税務上のステータスです。通常のCコーポレーション(C Corp)は会社で法人税を払い、配当で株主にも課税されるため二重課税になりがちです。これに対しS Corpは、利益・損失を株主の確定申告へ配分する仕組みで、課税が一段階になりやすいのが特徴です。日本の「法人税+配当課税」に近い感覚の方には、S Corpの“通過”の考え方が新鮮に映ると思います。

3. テキサスM&Aでの具体例や注意点

テキサスで小規模ビジネスを買収する場面では、「対象会社がS Corpかどうか」で価格交渉やスキームが変わります。例えばS Corpの株式譲渡(Stock Deal)だと、買い手は資産の簿価を原則引き上げにくく、減価償却メリットが取りにくい場合があります。一方で資産譲渡(Asset Deal)を選べば簿価の引上げ余地が出ますが、売り手側の税負担や契約移転の手間が増えることも。さらに重要なのが「株主資格」の制限です。一般にS Corpは株主になれる人・法人の要件が厳しく、外国人(非居住者)が株主になれないケースが多いため、日本からの投資スキームでは設計段階で詰まることがあります。詳細はIRSのS Corporation解説(IRS公式)や、米国での小規模企業情報をまとめたSBA(U.S. Small Business Administration)も参考になります。

4. まとめ

Sコーポレーションは、米国で二重課税を避けやすい一方、株主要件などの制約が強い制度です。テキサスM&Aでは「誰が株主になれるか」「Asset/Stockどちらが得か」を早めに確認しましょう。

5. コメント

ダラス周辺の案件で、売り手が「うちはS Corpだから税金が安い」と強調する一方、買い手(日本側)が持株比率や投資家の構成上、S Corpの要件に合わず、取引直前に組み替えが必要になったことがありました。私の経験上、S Corpは“節税の魔法”ではなく、株主構成と出口戦略まで含めた設計が前提です。LOI前に税理士・弁護士と一緒に、株主資格と取引形態(Asset/Stock)の選択肢を棚卸しするだけで、後戻りコストを大きく減らせます。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・税務的なアドバイスではありません。詳しくは専門家にご相談ください。