こんにちは!オーナーのMISAです。PART1、PART2、PART3、PART4に引き続き、起業家でありM&AのプロでもあるBerk Senerさんにお話をお聞きします。
企業の買収?それとも起業?
Misa:改めて、外国人投資家には事業の買収をおすすめしますか?それとも起業をすすめますか?
私は両方お勧めしますね。買収できるような魅力的なビジネスを見つけたらそれを買収すべきだと思います。
第一に、誠実な売手が多いと思うからです。アメリカでは税務当局が非常に強いので、税務当局から調査を受けたり追徴課税されたく ないため、誰もがクリアな確定申告をします。そのため、世界の他の地域と比較して、ビジネスを買収する際によりも検討しやすいと思います。ですから、もし力的なビジネスを見つけ、それが買収できる状態なのであれば、買収すべきです。ゼロから会社を立ち上げられると信じられる素晴らしいビジネスアイデアを持っているなら、新しく始めることも可能です。
アメリカでは、オンライン・プラットフォームを使って1日で会社を新しく立ち上げることができます。そして、自分で商標を申請することができます。その他のライセンスも自分で申請できます。テキサスは起業家にとって非常にフレンドリーな環境です。素晴らしいアイデアがあれば、ゼロから会社を立ち上げることもできます。
しかし、既存のビジネスを買収したり、フランチャイズに投資したりすることは、アメリカ経済に馴染みのない人にとっては特に、より良い選択肢となるかもしれません。スピーディにビジネスを軌道に乗せたい人には買収をお勧めします。私も小さなベンチャー企業や小さな投資をしています。私はゼロから会社を興すことができると自分では信じていますが、もし売りに出されている面白い会社を見つけたら、私は間違いなく、その会社の買収を検討するはずです。
海外から来た友人に聞かれるのですが、同じプロジェクトが2つあります。1つは、ゼロから始める場合、もう一つは買収の場合、私はおそらく、そのビジネスを買収してくださいと言うでしょう。なぜなら、ビジネスを買収するということは、顧客ベースやGoogleのレビュー、取引関係もすべて買収することができるからです。事業を買収をすれば、既存のオーナーのために移行期間を設けることもできますし、より良い方法で、よりスムーズに事業を引き継ぐこともできます。
事業のEXITにおいて大切なこと
Misa: EXITするためのコツはなんでしょうか?
まず財務状況を明確にし、透明性のある財務状況にすること。 貸借対照表に載っていない資産がなく、記録されていない収入や支出を無くすことですね。また、事業用の口座は、個人用の口座とは別に保存しておくことも必要です。例えば、私はLLCを一人で経営しています。オーナー は私一人です。そのため、法律では個人口座を事業経費に使うことが認められていますがそれは良い方法ではありません。つまり、もし売却できるようなビジネスをしたいのであれば、税務上非常にクリアなビジネスをしたいのであれば、事業用と個人用の口座は分けるべきなのです。
そして2つ目は、常に専門家と一緒に仕事をすることです。つまり、もしファイナンシャル・アドバイザーが必要なら、その専門家を探すことが必要です。事業をEXITする 際に法的な契約を結ぶのであれば、弁護士、法律顧問が必要です。
3つ目は、会社の設立初日からEXITについて考え始めることです。そうすることで、常に自分を律することができるようになり、自分自身に対してより責任を持つことができるようになります。
日本人投資家が意識すべき要素
Misa:日本の経営者たちはEXITについて考えるタイミングが遅いと思います。それが原因で自分が希望する金額や条件で事業を売却することができないことも多いのではないかと思います。
私は投資銀行で働いていた時、幸運にも何人かの日本人投資家と仕事をする機会がありました。日本人たちは自立心が強い人たちのように感じました。
一方で、日本では基本的に親族内承継が一般的なので、EXITについて早期から考えているというケースがありません。もちろんそれは良いことではありますが。
Misa:テキサスではEXITについて考えるのが日本よりも早いと思います。日本人がEXITについて考えるのが遅い理由として、日本の経営者は死ぬまで自分で経営しなければいけないと考えていることもあると思います。
トルコについても同じです。文化的なことが理由です。ここアメリカでは、家を売ったり、投資物件を売ったりするのと事業を売ることは変わらないと思うんです。でも、トルコでは、特に20年前、10年前は、会社を売ると周りからは「事業に失敗したから会社を売るんだ」と思われていました。でもそうではないんです。実は逆で、ビジネスに成功したからこそ、うまくEXITができるんです。アメリカでは、ビジネスを売却したり、新しいビジネスを購入したりするのはごく普通のことなのです。新車や中古車を買ったり、不動産を買ったりするのと変わらない。そして常に、ゼロから何かビジネスを立ち上げることができるとしたら、どんなビジネスでもEXITできるようにできます。例えば好立地の歯医者であれば、良いブランディングをするためにうまく宣伝をすればいい。ブランドイメージをどう作るかもビジネスにとって重要なのです。
Misa: ありがとうございました!M&Aにも精通していて、ビジネスオーナーであるBerkとのディスカッションは大変楽しかったし、勉強になりました。
こちらこそありがとうございました。今後より多くの日本人投資家がこの地に来てもらって、良いビジネスを展開できればと願っています。
翻訳・執筆者:西海朋華(津田塾大学 学芸学部国際関係学科)