こんにちは!オーナーのMISAです。今回はリクルーター会社の社長として、またNPO団体の代表や大学の講師など、多方面で活躍されているBrenda Siriさんにお話を伺いました。
ダラスで躍進するリクルートメント会社”Corporate Connection”の強みとは?
Misa:これまでのキャリアヒストリーや現在のビジネスについて教えてください。
私がキャリアをスタートした当初、人事部門はそれほど専任の人材がいるような特化した部門ではありませんでした。当時、アメリカの企業では、人事部は非常に新しい存在として注目されるようになってきていた頃でした。
その頃、私は組織のCEO直属として仕事をすることになりました。人事部門を作ることになったとき、CEOが私に「参画しないか?」と尋ねてきたのです。当時は、大学を卒業して「人事」というキャリアパスへ進もうとする人は多くありませんでしたね。 私の役割のひとつは、会社の採用や解雇をサポートすること。それが”Talent Acquisition(人材獲保)”としての私のキャリアの始まりとなりました。

その後、人材獲得に携わるようになり、非上場企業や上場企業でキャリアを積み、リクルートメント活動をリードしてきました。おかげで、私は組織の内側からも、外側からもリクルーターとして自分が何をすべきかを理解できていると思います。このことが、この業界で仕事をする上での強みになっていると思います。
Misa:リクルーターとして働く上での情熱はなんですか?
私自身、組織の中にいた経験があるので、「良い雇用」が生み出す価値だけでなく、「望ましくない雇用」が生み出す無駄なコストのインパクトを知っています。一般的に、誤った採用をすると、その人の給与の40%分ものコストがかかることがあります。なぜなら、人を採用する際、採用活動だけでなく、社内での受け入れ、福利厚生の設定、そして組織の一員となってもらうための過程に一定のコストがかかるからです。
その投資と時間のすべてを費やしたのにもかかわらず、6ヵ月後にその人材がその組織に合わない人材だったと判断したら、その時点までに多くのお金を費やしてしまったものが無駄になり最初からやり直さなければならなくなってしまいます。だから、私は良い採用がいかに重要かと言うことに関して、その価値をよく理解しています。
今、私がリクルーター事業の経営者として、注力している取り組んでいることのひとつは、人材に対するデューデリジェンスに多くの時間を費やすことです。候補者ひとりひとりと面接し、多くの時間をかけて話をすることで、私がクライアントに紹介する人物が本当にクライアントにとって良い人材であるかどうか、きちんと確証を得るのです。
例えば、20年前に私が採用を斡旋した人材が今もその組織で働いているという事例がありますが、とても誇りに思っています。私が支援した採用を通じて、その組織に多くの価値をもたらし、そしてクライアントは長期的に会社に貢献する従業員を得たのです。
私が他の多くのリクルーターたちと違うのは、過去に関わった人材(転職候補者)のデータベースを蓄積しているわけではないということだと思います。 なぜなら、私がクライアントのために行う人材サーチは、毎回工夫の仕方が異なるからです。あるポジションの採用を任されるたびに、そのポジションに最適な人材を探し出すため、クライアントの要件に合わせて独自のサーチを行います。それが、この業界において差別化になっていると思います。
Misa:候補者の人材データを蓄積していないというのを聞いてとても驚いたのですが、どうやってクライアントの要件に合いそうな新しい候補者に接触しているのですか?
まず第一に、私は採用担当者としっかりと話をできるまでは候補者探しを開始しません。採用担当者が会社の中堅シニア・マネージャーであろうと、会社のCEOであろうと、彼らは単なる職務内容だけでなく「人材に求めるものが何なのか」を本当の意味で知っています。
どんな仕事にも仕事内容があり、標準的な要件もあります。彼らは、どんな能力を求めているか知っていますが、その会社との文化的なフィット感や、マインドセットなど側面において何を求めているかについても知っているのです。 だから、私はサーチを始める前に、単なる職務内容だけでなく、彼らが何を求めているのかを総合的に深く理解したいのです。何年もこの仕事に従事してCEOやマネジメント層が新たな人材に何を求めているかを理解していると、プロフィールや履歴書にすぐに目を通して、時間を割いて話をすべ人がいるかどうかを判断できるようになるんですよ。
特に、私が候補者を探しているとき、そのプロフィールや履歴書を見直すときに注目することのひとつが、在職期間です。なぜなら、組織にとっては、1年おきや2年おきに転職するようなジョブホッパーではなく、長期に渡って働いてくれる人に投資したいと考えているからです。パンデミックに直面した4年間は、多くの企業が閉鎖され、解雇が相次ぎました。しかし 、そういった特別な事情がなければ、どの企業も仕事に対して献身的な人、適切な経験を持ち、社風に合う人を求めるはずです。
Misa:クライアントの社風や新し人材に何を求めるのかについて、完全に理解するのはとても難しく聞こえますが、どうすれば理解できるのでしょうか?
例を挙げてみましょう。今まさに 私はある幹部職のサーチに取り組んでいて、その会社のCEOと直接仕事をしているのですが、そのCEOに「御社の企業文化について教えてください」と具体的に尋ねてみました。すると、CEOが口にした2つの言葉は、”アカウンタビリティ(責任感 があること)”と”イノベーション(革新的なマインドを持っていること)”でした。それは彼にとってとても重要なことなのです。そこで私は、適切な経験を持つ候補者を探し、本人に対して「組織の文化について、あなたは何を求めますか?」と質問するのです。その時、そのこの”アカウンタビリティ”と”イノベーション”のうちのどちらかのワードが出てくれば、それがその組織に合う人材であることを示す良い手がかりになります。
Misa:アカウンタビリティとイノベーションですか。シンプルなことですが、難しいですね。
“アカウンタビリティ”については、組織の中では、仕事に対して責任を持つ人を迎え入れたいと思うのは当然ですよね。もしも、自分の目標を達成できなかった場合や、責務を果たせなかった場合に、まず最初にそのことを報告した上で、どう改善すべきかを示すことが大切です。これがアカウンタビリティ(責任感)というものです。
“イノベーション”とは、それはおそらく多くの人にとって大きな意味を持つと思います。 人は成長し、そして時代とともに成長している企業で働きたいと思うものです。私たちは変化の著しい世界に生きているわけですから。もし候補者本人の考え方が革新的でなく、そのスピードについていくことができなければ、その人が成功することはできないでしょう。だから、そのマインドは採用する側のCEOにとっても重要なことであり、私もとても共感できます。候補者と会話するときにも、本人が「そういう企業で働きたい」と言ってくれるのは嬉しいことです。
私自身も、成長している会社の一部 として貢献したいと思っています。停滞している会社の一員にはなりたくないし、もしその会社に就職しても、1年後、2年後には仕事がないかもしれないですから。そんな不安を抱きたくないですよね。
翻訳・執筆者:西海朋華(津田塾大学 学芸学部国際関係学科)
インタビューはPART2へ続きます。