こんにちは!オーナーのMISAです。今回は不動産仲介エージェントとして多くの経験を積んできた、Sandra Millsさんにお話を伺いました。
経験と成長:キャリアを支える多様な経験
Misa:これまでのキャリアについて教えていただけますか?
私が不動産に携わるようになったのは、20代前半からです。19歳のとき不動産に関わる物件管理の仕事を紹介され、そこから不動産仲介エージェントとしての長い道のりが始まりました。当時はこれほど長続きするとは思っていませんでした。不動産管理、投資家と仕事をする方法、金融、マーケティング、建設、人事など、あらゆることを学びました。最初はリースコンサルタントとしてスタートし、23歳でリージョナルディレクター に昇進しました。
Misa: 若くしてすばらしいですね。
そうですね。業界を知るためにがむしゃらに頑張りました。この業界で必要とされる資格はすべて取得しました。また、知識だけでなく、クライアントに良いサービスを提供できているか、投資家にとって良い働きかけができているかなど、常に自分を厳しく評価していました。 そうしている間に、人々に住まいを提供するこの業界に情熱を抱くようになりました。この原動力の源は、私が若いうちからシングルマザーとして養ってきた子どもたちだと思います。子どもたちにより良い環境を与えたいという気持ちが私を突き動かしてくれたのです。

生い立ちについて話すと、私はメキシコで生まれ、母語はスペイン語です。そのため5歳でアメリカに来たとき、新たに英語を学ばなければならず大変でした。私の母もシングルマザーで、私たちにより良い生活させてあげようといつも一生懸命働いていました。
若くして子どもたちの親となり、今まで情熱を絶やさずに持ち続けてきました。知識も蓄え、良い職にも恵まれて、自分がしたいことを実現するのは自分次第だということに気づきました。
不動産仲介エージェントになるための勉強をはじめたのは、自分の時間を手に入れることと、ライフワークバランスを実現するためです。今から23年前に、不動産仲介エージェントの免許を取得しました。これは決して簡単に取得できるものではありません。当時勤めていた物件管理の企業は、十分な収入だけでなく、健康保険、その当時は住居も提供してくれたため、そこでは長く働いていました。
しかし23年前仲介業に進み、この世界が100%歩合制であり、福利厚生や健康保険がないということを知りました。子どもたちが幼かったため、投資家から提案された物件管理のディレクターのポジションを受け入れました。13年間はそのポジションで、友人や家族のためにパートタイムで不動産業をしていました。
そして6年前、再婚してフルタイムで仲介エージェントとして働くようになりました。副収入を得たことで自信がつき、起業し、自営業としてビジネスを思い切ってスタートすることができました。今考えると運命だったのだと思います。23年前から大きな野心と希望はありましたが、当時はそれを実現することと、子どもたちとの時間を大切にすることとの両立はとても難しかったですね。
不動産業は、クライアントに多くの時間を割かねばなりませんし、リースや売買のタイミングも重要です。そのため夜間や週末の仕事が求められますが、当時は夕方からは子どもたちと一緒にいるようにしていました。つまり23年前はベストタイミングではなかったのです。自営業としてビジネスを始める前は物件管理をしていて、月曜から金曜まで働いていました。緊急対応のために24時間体制で待機しなければならない仕事でした。火事や犯罪など、何かあればすぐに駆けつけて対応する必要がありましたから。そのためゆくゆくはこの業務を離れ、独立して働きたいと考えていました。時間がかかりましたが、今では、その物件管理での経験も活かしてクライアントをサポートしています。
キーワードは「献身」と「情熱」:成功を導くプロフェッショナリズム
Misa:不動産仲介エージェントとしての仕事と、家族や自分の時間とのバランスをどのようにとっていますか?とても大変だと思います。
まず前職の物件管理の業務を通じて、良い習慣を身につけることができました。スーパーバイザーや、会社のオーナーはもちろんいましたが、常に「自分主導で仕事をしている」という意識があったのです。毎朝5〜6時には起きて働いていました。子どもたちを起こす前に少し働いて、子どもたちを預け、それから出社して、1日の中で自分のできる限りのベストを尽くしました。当時は大抵夜遅くに帰宅していました。
自営業者である不動産仲介エージェントと聞くと、それぞれがスケジュールをこなしていると考えるでしょう。しかし実際、会社にいる70人のエージェントのうち、熱心に仕事に打ち込んでいるのは、10人ほどです。そして不動産仲介エージェントとして大きな成功を収めるのは、全体の9〜13%だとされています。それほど競争率の高い職種なのです。そのため私は、クライアントとの時間を大切にするようにしています。クライアントよりも先に私が彼らに連絡を取ること。それが自分の時間を管理できるコツだとも言えるでしょう。クライアントのニーズをよく聞いて理解し、彼らに会う前に準備をしておきます。そして面談ができるときは、売主と買主それぞれの説明を行い、双方のニーズをよく聞くようにしています。
仲介エージェントとして寄り添い、契約が成立できるように全力を注いでいます。仲介エージェントの中には、30〜50もの物件を見せる人もいます。しかし私はクライアントの探している物件がよくわかっているので、持ち時間にもよりますが、たった5〜10の物件を紹介するだけで済みます。事前に彼らのニーズをよく聞いているからこそ、彼らがどのような物件を気にいるのかわかるのです。献身的に、情熱を持ってクライアントのニーズを聞くことはとても大切なことなのです。
Misa:事前にクライアントの要望を熱心に聞くことが、不動産仲介エージェントとしての成功の鍵なのですね。
その通りです。そして私は常にまめで計画的でいようと心がけています。私がクライアントにしっかり向き合っているという姿勢を見せたいですし、彼らの個人的な問題にも目を向けたいのです。
クライアントそれぞれの名前をファイルにまとめています。そうすることで実際に会ったとき、彼らはすでに自分の名前がファイルにまとめられており、クライアントとして扱われていることに気がつきます。
彼らとの面談の書類は、必ず電子と、紙面でのふたつの媒体で持つようにしています。コンピューターに不具合が出たときの対応やクライアントとの円滑なやり取りのために、ふたつの媒体でバックアップを取っていると安心ですから。「仕事を倍にしている」という人もいますが、かまいません。むしろ時間をかけたいのです。
また、昔のクライアントとの関係も大切にしています。4年前に担当したクライアントから「このエリアでいい物件をいくつか見せてくれ」といった電話を受けることもあります。そのときはもちろん引き受けますよ。取引が完了した後、つまり購入や売却が終わったらそれで終わりというわけではありません。私は引き続き彼らとの関係を維持して、何か質問があれば彼らがいつでも私に連絡ができるようにしています。私自身も訪問して様子を見に行くこともあります。そうすることで、彼らの記憶に残り、他の人にも私を紹介してもらえるようになるのです。
Misa: そうですね、クライアントとの関係の構築と継続はとても大切なことだと思います。 買主は将来的に売主になる可能性がありますし。だから長期的な関係を築くことが大切なのですね。
インタビューはPART2へ続きます。
翻訳・執筆者:関口舞(津田塾大学 学芸学部英文学科)